社説 公共事業にみる-解決の緒は何処に

自宅を工事する時、皆さんはどの様に業者を選び、工事内容を決定するでしょうか。

過去の検証のもと業者との話し合い、納得し合意を交わしながらまず計画をまとめ、工事中もしっかりとした手順での確認や合意が行われるのが通例ではないでしょうか。

納得行く結果を生むためには、検証と合意形成の質が重要な判断材料といえます。他の日常的な買い物でも、同じ事が言えそうです。

しかし公共事業では、直接の事業主立場にあるのは首長と行政の担当であり、事業ごとに民意や自治体総合計画との調整が必要となり、合意形成の手順も煩雑で、資金面でも補助金などの調整が難しく、事業主に求められることの多い状態と言えます。

少人口の市町村では、専門家的担当者を配置するのは難しく、重ねて首長の合意形成意識が薄い場合、住民不安からの反対運動や、市民説明会が紛糾することがあります。

更に元国営民間企業が関わる公共事業では、当たり前の様に行われてきたことが、民間としては成り立たない場合でも改善されないこともあり、特に事業への関わり方や費用負担などの面で、結果として説明責任が果たされず、批判が相次ぐことがあります。

この25日の広島高裁での一票の格差への違憲選挙無効という判決も、「しっかりとした問題提起の上で、市民理解あっての多数決が民主主義。」という意識が未だ徹底していない現れで、質のいい検証と合意形成が、国も地方も問われる現状があります。

市民に出来ることは、そういったことに注視しつつも、首長も担当者も市民と一緒にその事業をつくっているという視点に帰り対応することが、好結果の近道になると言えそうです。