まちを学ぶシリーズ3 – こだわりの雷(蛇)信仰

前回において、火の神によってイザナミ命の〈陰=ほと〉を焼かれて亡くなり、夫のイザナギ命が黄泉の国を訪れた時に見た妻イザナミ命の体に取り付いた八つの雷の姿が八雷神(やくさのいかづちのかみ)であることを述べた。この八雷神が八ヶ岳の祭神の一つに加えられた理由は、天空から落ちてきた弓矢によって二つに裂かれたと想像されるV字形の巨石の姿が、大地の母なる神の〈陰=ほと〉に弓矢が当たったイメージと重なるためである。

落ちてくる弓矢は、落雷のイメージにつながって行く。雷は雨を降らせ、稲光を発します。ギザギザに蛇行する姿は、蛇を連想する。八雷神は死者を守る神である同時に蛇神ともされる。

八雷神は蛇神として、雨乞いの神(水神信仰)として信仰されて行く。三ッ頭の山名は、三頭の牛や馬の頭を雨乞いのために権現岳に供えた形に由来する。牛首の奉納は、牛を殺して漢神(からかみ=渡来の神)に供える雨乞いの儀礼である。清里から赤岳へ登る真鏡寺尾根の牛首山も雨乞いに由来する山名である。

猟師が白蛇を助けると、そのお礼で湧水が湧き出るという伝承が南麓一帯にある。小渕沢町の大滝神社湧水・大泉町の大泉勇水と八衛門湧水・高根町の東井出の湧水・長坂町の三分の一勇水に白蛇伝承が残されている。長坂町の「白井沢」の地名も、白蛇による鉄砲水・山崩れに由来するという(『甲斐国志』)。

八ヶ岳南麓は豊かな湧水に恵まれた地域で、この地域一帯は「逸見」と呼称されてきた。古代において逸見庄と言われ、波美臣(はみのおみ)の領地であったという。逸見は、蛇が転訛(てんか)した波美に由来するという(『甲斐国志』)。市河荘(市川三郷町)から、この南麓に居を構えた甲斐源氏の祖・清光は、この「逸見(波美)」の地名・家名を襲名して、「逸見清光」と名のる。古代逸見氏の名前に潜む神秘性と支配の正当性を継承するためである。武田信虎が甲斐国を統一するまで、逸見氏の一族は武田氏との抗争を繰り返す。それは、逸見氏が伝統的権威を強く固持し、甲斐源氏の祖・清光の嫡子である本流を自負する意識があったからであろう。

このように、八ヶ岳の祭神の八雷神の蛇神性は、歴史・文化・信仰に広く影響を及ぼし、八ヶ岳南麓地域にこだわりの精神的世界を作り上げてきた。

 

ひとことネット講座 3-メールはどこへ行った?

インターネットを使う基本としてのメール。コミュニケーションの手段として、ウェブサービスを使うための登録作業の入り口として、メールは重要な役割を担っています。

メールにも様々な環境があり、最も身近な携帯電話やスマートフォン、パソコンを使っての閲覧、更にそれぞれ形式や閲覧方法などの違いがあり、多様化が進んでいます。

そんなメールの閲覧方法も、Outlookなどのメールソフトから、ブロードバンドが普及した近年では、Internet Explorerの様なウェブブラウザ中心の閲覧に、変わりつつあります。

今多くのメールはインターネット上にあります。誰もが受信して自分のパソコンに保存いたメール、大容量で高速なやり取りが出来るようになり、インターネットに保存されているという状況に変わってきているのです。

逆に考えると、メールもウェブサービスも、アカウントとパスワードで、インターネット上に預ける似たものという、目に見えて状態が近づいています。逆に、この関係と扱いを理解するだけで、よりネットが身近なツールに変わってきます。

観光案内所・広報-観光協会-「秋の観光キャンペーン」

十月十日、北杜市観光協会小淵沢支部にて、「秋の観光キャンペーン」として、埼玉県三郷市にある「ららぽーと新三郷」にて、役員とまちこぶを含む一般会員より計16名と共に、小淵沢のことを知っていただけるように、馬の町・癒しの町小淵沢の宣伝をしてきました。

まちづくり小淵沢からは、運営委員と観光案内所職員が2名参加し、以前まちこぶで制作した八ヶ岳浪漫紀行などのパンフレットに加え、観光協会支部で事前に地域から集められた『ほくと物語・こぶちさわ(エリアガイドマップ)』など、他多数のパンフレットと、記念品として花苗とクリアファイルを配布しながら訪れる方との交流をはかりました 。

来場者の関心も高く長蛇の列になり、訪れた方から「私達の地域の集まりで小淵沢に行きたい」など、他にも様々な声を聞くことができ、とてもいい機会となりました。

こういった交流の機会は、まちづくりに大切な繋がりを築く取り組みの一つと言えます。

(まちこぶ)

まちこぶ対談③ 代表・小林伸一 田園サスティナブルライフ-著者・中島恵理氏(本文敬称略)

テーマ「様々な視点からのまちづくり(地元学)」

中島 その(区に入るということの)意義は、お金だけ払われるものでなくて、この地域の環境を守るためにとか、自分自身が環境を理解してとか、そういう意義があるっていうことを含めて(の意義)。区自身も非常に良い、都会には無い参加自治の仕組みだと思うんです。

ただ感じているのは、外から来た人や、女性とか子どもたちも参加し難いし、ある意味地元の人たちだけの場になっている。でも仕組み自身は素晴らしい住民参加型のまちづくりを出来る様な基礎になっている。組長とか区長も議会議員も、ほとんど男の人で新しい人もなかなか参加できない。なので変えることが出来れば、若い人も女の人も子どもたちも自由に地域のことを語り合える様な、そういう若干民主的な場になっていけば、もっともっと素晴らしい。

この本の中でも富士見町の神戸(ごうど)での地元学というのを書いているんですけど、地元学の切掛けはアウトレットモールが神戸と富里(とみさと)という地域に出来るということがあって、地元の議員さんから、「反対運動はしたくないけど、本当にその地域にイタリアンアウトレットができることが適切か」って言うことを考えたいという話を相談され。その時に「地元学をやりましょう」というのを提案して、東京から専門家に来てもらって、地域の宝を他所から来た人と地域の人たちが一緒に、地域の人達が先生で、他所から来た人が生徒になって一緒に歩くんですね。だいたい水みちに沿って、植物とか動物とか歴史の道具とか、色んなテーマにそって歩いて、地元の人達に聞きながら、外から来た人たちとか若い人たちが勉強して「これって宝だよね」ってやっていくんですね。

小林 地域を理解するってことですね。

中島 神戸はそういうことを何回かやったんですけど、すごい今元気になっているんです。

地元学には誰でも参加できるんですよね。子どもを含めて若い人も、それも外も中の人も両方居るから出来ている。中の人に教えてもらって外から来た人が再評価・再発見する。

そういうことで皆さんが気づいて、その宝をどう守っていこうかとか、何か課題があればどう解決していこうかとか。そういうことが出きていければ、外からの人も中の人も両方居るので強みに出来る。子どもも結構いい発見をするので、子どもの素朴な。

小林 いいですね。

中島 すごく簡単なんですよね。慣れてくると、議員さんが自分でコーディネーターになってやっていたので。

小林 印象に残ってます。地元学は。

中島 だからまちづくり小淵沢さんでもね、どこかの地区と連携して。

ただ、いくつか地元学やっていたんですけど、地域によってはやった気になって、それで終わってしまうんで、自分でその地域を何とかしたいというその地区の人が居れば、やったことを元に発展していく。普通にやっただけでは、イベントだけに終わってしまう。なので元気な議員さんとか区長さんとか居らっしゃるので巻き込んで、まちづくり小淵沢さんで主催して。

小林 ひとつの手法としていいですね。

中島 気楽にイベントとしてできるんです。

 

    著者紹介:中島恵理氏

環境省・長野県環境部

温暖化対策室課長

平日は環境行政に関わり、休日は家族(夫、息子、娘)と長野県富士見町で、田舎暮らしを楽しんでいる。様々       な団体や地元の市民グループ活動にも参加している。ショップまちこぶにも懇意にしていただいている。

いいこと探訪3~日本風景街道~八ヶ岳南麓風景街道の会

本誌にて、ここ数回に渡り紹介しました、様々な取り組みをしている八ヶ岳南麓風景街道の会ですが、日本風景街道(シーニック・バイウェイ・ジャパン)という、国土交通省が取り組む運動の128団体の一つに登録されています。

日本風景街道は、郷土愛を育み、日本列島の魅力・美しさを発見、創出するとともに、多様な主体による協働のもと、景観、自然、歴史、文化等の地域資源を活かした国民的な原風景を創成する運動を促し、以って、地域活性化、観光振興に寄与し、これにより、国土文化の再興の一助となることを目的として、2005年12月の戦略会議より、2007年9月の登録スタートなどを経て、全国各地の取り組みをつなげています。

事業仕分けの対象になるなど苦しい時期もありましたが、官民連携・中間支援などこれからの地域づくりに重要な役割にあることを、それぞれ苦しい中再認識し、活発に活動する団体が多く、道の駅との連携も本年より取り組みが始まっています。

10月25・26日と開催された「風景街道サミットinあさま」など、八ヶ岳南麓風景街道の会からは、山梨県2名・北杜市1名・民間3名で参加し、学びと交流の機会を前向きに取り組んでいます。

地域づくりで風景や観光交流などが重要といえるこの北杜市のまちづくりで、日本風景街道のような取り組みは、地域一丸で育んで行かなければならない取り組みと言えます。

十一月十八日市長市議選挙を前に-自ら選ぶ代表者

十一月十一日告示十一月十八日投開票で、北杜市長選挙及び市議会議員選挙が開催されます。投票日当日の他、期日前投票や病院や施設又は郵送等による不在者投票などにより、投票することも可能ですので、事前に選挙管理委員会・北杜市役所総務課(☎0551-42-1311)やホームページなどで詳細をご確認ください。

選挙公報は、十一月十五日(木)の朝刊に折り込まれる予定の他、支所等の公共施設などにも備え付け、希望者への郵送も行う予定とされていますので、こちらもご確認ください。

まちこぶでは、この数ヶ月まちこぶ瓦版3回に渡り政治シリーズとして、まちづくりのための大切な政治指標を、前多治見市長で昨年まで山梨学院大学で教鞭をとられていた西寺雅也名古屋学院大学経済学部総合政策学科教授に、台所が政治を変えると題して、夏号では市長について、秋号では議会について、当冬号では有権者について紐解いていただきました。

正に、私たちの台所事情を決めるといえる最も身近で大切な選挙、多くの皆さんの質のいい関心が、いいまちをつくる一番の薬といえるのではないでしょうか。

台所が政治を変える3-「お任せ民主主義」と「市民総評論家」からの脱却を

――選挙を前にして自ら考えたいこと――

いよいよ北杜市の市議会議員・市長選挙が近づいてきました。身近な選挙はなかなか厄介で、支持をするといっても様々な要因がそこには含まれています。個人的に知り合いである、同級生である、地域で議員を出さなければというプレッシャー。必ずしも「政治的な資質」といえるもの、あるいはその人や党の「政策」で選んでいるとは限りません。しかし、そういうことを繰り返していては、市政はよくなりません。

「お任せ民主主義」になっていないか?

多くの人が4年に一度の選挙に投票し、議員や市長を選んでしまえば、後は自治体政治を議会や行政に任せてしまい、さまざま問題が起きても、不満や不安であっても「まあ、仕方ないか」と思いながら、そのくせ裏では「**はダメだ」と批判して済ませてきたのではないでしょうか。しかし、そのような「お任せ民主主義」と「市民総評論家」では地域はよくなりません。

選挙はゴールではなく出発点

「選ぶ側のレベルに見合った議員や首長しか選べない」とよくいわれますが、市民がしっかり選ばれた人たちを監視し、緊張感のある状況を作ることによって、政治家たちの行動も規律されます。質の高い政治が行われるかどうかは厳しい「市民の目」があるかどうかにかかっています。そして、選挙時には選ばれた人たち個々の4年間の活動を評価することも必要です。従って、選挙はただ単に4年に一度のイベントではなく、選んだ側の市民のスタンスも同時に問われているのです。選挙から選挙へ繰り返すそのサイクル全体が選ぶ人の責任でもあります。選挙はゴールではなく、出発点です。

特に今日のように財政問題やら人口減少、高齢化、地域経済の低迷など「持続可能性」を脅かすような地域課題を抱えているときはなおさらです。こういう時こそ、将来を見通すような視野を持った人が不可欠です。「地域社会の将来をどう考えるか」や「これからの自治体政治のあり方をどのようにしていくか」といった視点からみて、政治家たちがしっかりした考えをもっているかどうかがとても大切です。

市民は選ぶ側の責任も問われている

もちろん、通常自治体の政治は議会と行政によって行われていますので、優れた議員、首長を選ばなくてはならないのは当然のことです。しかし、だからと言って議会や首長に「白紙委任」したわけではなく、選んだ側も常に市政とのかかわりを意識していなければなりません。法律にも自治体の政治には直接民主主義のしくみが埋め込まれています。条例の制定改廃の直接請求、議員・長の解職請求、議会の解散請求などがそれですが、自治体独自でも市民参加を行ったり、住民投票条例を作ったりと積極的に市民が自治体政治にかかわることができるよう努力がなされています。市民には「お任せ」ではなく、選ぶ側としての責任も問われているのです。

著者紹介・西寺雅也氏

名古屋学院大学経済学部総合政策学科教授
山梨学院大大学院非常勤講師
前多治見市長

本年3月まで、山梨学院大学教授として山梨を拠点に、北杜市内にも市民講座の講師として度々通われ、この地への理解も深い。